私どものグループでは、1980年代より日本原子力研究開発機構の研究用原子炉を使用して中性子捕捉療法の臨床研究を行ってきました。悪性脳腫虜を中心に、約100例の実績があり、有意な結果が報告され、新しい治療法として期待されています。
しかし、原子炉の使用は、数か月に及ぶ定期点検など煩雑な管理が必要であり、運用が難しい面がありました。
現在は、「いばらき中性子医療研究センターJ(茨城県・東海村)を拠点として、筑波大学を中心に高エネルギー加速器研究機構、日本原子力研究開発機構、北海道大学および茨城県による産学官連携のチームを結成し、原子炉を使用しない加速器を利用した治療装置を開発しています。一日でも早く患者さんのお役に立てるよう、装置の完成後は、臨床試験を開始し、さらに病院に併設の治療施設の実現を目指しています。